
新しく亜鉛メッキで塗装された展示館の屋根
2026年4月25日、晴れ渡った土曜日の朝の光に包まれた日本館はいっそうの輝きを放っていました。この日、約100名の招待客を集めて日本館の再開館式が行われました。
招待客の一人、イビラプエラ公園を管理するウルビア(Urbia)社の総支配人サミュエル・ロイド氏が、挨拶で述べたように、ここは「イビラプエラ公園の宝石」と称えられる場所です。
日本館は、2025年末から一時閉館とし、経年劣化が進んだ箇所(木材や植栽)の修復、展示館の屋根の葺き替え、そして新しい木製ベンチの設置など、各所の改修工事を行いました。
日本館運営委員会の奥原常嗣委員長は、今回の再開館の式典を執り行うにあたり、修復作業の実施を可能にしてくれた個人、団体、企業へ感謝を伝えることがこの式典開催の目的であると述べました。また、委員長として、イビラプエラ公園において、唯一のブラジル国外の空間と捉えるこの場所の保存と日系社会の団結を促進したいと語りました。

挨拶に立つ日本館運営委員会の奥原常嗣委員長
主な出席者:野口泰 駐ブラジル日本国特命全権大使、鈴木誉里子 在聖総領事、宮崎明博 JICAブラジル事務所所長、カルロス・アウグスト・ローザ ジャパンハウス・サンパウロ館長、林ロドリゴ市議会議員兼経済開発・労働局長、野村アウレリオサンパウロ投資誘致局戦略プロジェクト担当エグゼクティブ ディレクター、キム・カタギリ連邦副議員の代理ミナトガワ・ラファエル、アンジェラ・ガンドラ・マルティンスサンパウロ市国際関係長官、飯星ワルテル元連邦下院議員、イトウ・ケンジ市議会議員、本間秀子陶芸家、マルシオ・ゴメスCNNジャーナリスト兼プレゼンター、タイガ・コレア・ゴメスジャーナリスト、清水テルマシェフ、佐藤テオドロ宮坂国人財団理事長、谷口ジョゼブラジル日本都道府県人会連合会会長、鈴木ワグネルブラジル日本商工会議所副会頭、そして、日本館を運営するブラジル日本文化福祉協会からは、石川レナト・石田オルガ名誉会長夫妻と西尾ロベルト義弘会長をはじめとする理事会メンバーおよび日本館支援者の会会員など約百名。


式典への出席者たち 奥原常嗣委員長(左)と日本館支援者の会メンバー
日本館の改修を祝し、謝意を表明

挨拶に立つ ブラジル日本文化福祉協会 西尾ロベルト義弘 会長
日本館の運営母体であるブラジル日本文化福祉協会の西尾ロベルト義弘会長は、まず始めに、野口大使および鈴木総領事に対し、式典への出席、ならびに「令和6年度対ブラジル草の根文化無償資金協力」により日本館の展示館の屋根修繕が実施され、この歴史的建造物の保存がなされたことに対して心からの謝意を表しました。
続いて、林ロドリゴ市議会議員兼市経済開発・労働局長(リカルド・ヌネス市長代理)およびアンジェラ・ガンドラ・マルティンス市局長に対し、両氏の出席は「我々の誇りである」とし、日本館について「両国の間に築かれた友情と絆を象徴する、極めて重要なシンボルである。」と強調しました。
また、日本館を支え続けてくれている日系社会の人々に対しても感謝の意を表明し、この71年間、皆様の協力があったからこそ日本館を維持するという我々文協の責任を果たすことができていると述べました。


イビラプエラ公園の管理運営会社ウルビア(Urbia)の 市議会で日本館を支持する活動を展開している林ロドリゴ市議
総支配人サミュエル・ロイド氏
一方、イビラプエラ公園の管理運営会社ウルビア(Urbia)の総支配人サミュエル・ロイド氏は、日本館を「希少な宝石」であり「公園内で最も美しい場所」であると称賛しました。同氏は、この非常に独特で特別な場所の価値をいっそう高め、維持していくための共同作業に敬意を表すとともに、「この騒々しい大都会の只中に、安らぎの空間(呼吸ができる場所)を再生させること」の重要性を強調しました。
市議会議員兼市経済開発・労働局長の林ロドリゴ市議は、完了した日本館の改修工事を称えるとともに、当時の野村アウレリオ市議と協力して取り組んだ「市議会での闘い」を振り返りました。それは、「市営公園の民営化プロセスにおいて、日本館を他とは異なる例外措置の対象にすること」でした。
この闘いに勝利したことを強調した上で、同氏はさらに、日本館へのバリアフリー設備の設置を目的として、自身が発案した議会修正予算についても言及しました。


鈴木誉里子 在サンパウロ日本国総領事 野口泰 駐ブラジル日本国特命全権大使
鈴木誉里子 在聖総領事は、式典への祝辞を述べると共に、これまでブラジルを訪れる数々の自国(日本)の要人たちに対して日本館が提供してきた温かいもてなしに対する感謝の意を表しました。
一方、野口泰大使は、2017年から2020年にかけて在サンパウロ総領事として頻繁に訪れていたこの日本館に、再び戻ってこれたことへの喜びを語りました。また、日伯関係の象徴であるこの場所を保存し続けてきた一人一人の絶え間ない努力と献身を称賛しました。
各代表挨拶の最後に、文協から鈴木総領事へ、日本政府による助成金に対する感謝状(記念プレート)が贈呈されました。その際、西尾会長は、当時の清水享在聖総領事(現在コロンビア日本国特命全権大使)の尽力についても触れ、改めて感謝の意を表しました。


日本政府への感謝状(記念プレート)の贈呈 日本館に関する動画の主役を務めたジャーナリスト、
タイガ・コレア・ゴメス氏へ記念品贈呈(本間秀子作の陶芸作品)

締めくくりとして、当時文協の会長として、この草の根資金贈与契約の署名を取り付けた石川レナト名誉会長が乾杯の音頭を行いました。その際、共に尽力した当時の日本館運営委員会の栗田クラウディオ委員長の献身的な取り組みに言及し、同氏を労いました。


乾杯の後は、 日本食レストラン「藍染」の清水テルマシェフによる昼食が振舞われた他、日本館の大広間では藤間流日本舞踊学校(代表:藤間芳琴)による演舞が行われました。

(左から)奥原委員長、野口大使、西尾文協会長、アンジェラSP市国際関係長官、鈴木総領事、福原文協副会長


(左から)木製ベンチを設計した建築家マルシオ・タナカ氏と (左から)イトウ・ケンジ市議会議員、野口大使、
ジョアン・スピンドラ氏、 アンジェラSP市国際関係長官
式典の司会を担当した文協広報委員会林田サンドラ委員長


サントリーのウイスキー「響」を味わう出席者たち 式典出席者たち
(左から)野村元市議、平崎リベルダーデ友好会会長、
宮崎JICAブラジル事務所所長、平野文協副会長、
田村国際交流基金サンパウロ文化センター所長


テルマシェフ(左)と栗田前日本館運営委員長 (左から/敬称略)クボタ氏、カルロス氏、西尾会長、林田氏、
栗田氏、奥原氏
展示館の新しい屋根
奥原常嗣委員長は、工事の様子を示す様々な画像を提示しながら、多くの方々から寄せられた協力と団結を「この日本館の建築を象徴する、釘を使わない木組みのようです」と述べ、皆の支援に敬意を表しました。
今回の最も大規模な改修は、展示館と渡り廊下の古いアスベスト屋根を亜鉛材に交換したことです。これは、日本政府の対ブラジル草の根文化無償資金協力によって実現しました。
日本館建築70周年を記念したこの取り組みの贈与契約は、当時の清水享総領事と石川レナト文協会長の間で結ばれたもので、2015年に日本の中島工務店によって実施された、展示室の木造部分(内装および外装)の修復工事を補完・完了させることを目的としていました。
栗田クラウディオ前日本館運営委員長は、「屋根は非常に美しく仕上がりました。今後長年にわたってレガシーとして残るこの工事に携われたことを大変嬉しく思います。」と述べました。
同氏によると、「草の根文化無償のプロセスは簡単なものではなかった」とした上で、当時の清水徹総領事の協力に加え、歴代の文化担当領事たちからの重要な助けがあったと話しました。
2025年3月に資金の寄贈が確定した後、栗田氏は中島工務店の認定建築家である丹庭エリザベッチ・エミ氏と共に、現地の状況に適した様々な選択肢の分析を進めました。
最終的に、奥原現委員長と共に、塗装された亜鉛瓦の使用が決定されました。屋根改修チームが作成した報告書によると、これは「日本人建築家・堀口捨己のオリジナルコンセプトと合致するものであり、また、場所を覆っていた石綿セメント板を撤去した際に見つかった、建設当時のオリジナルの瓦とも一致したため」とのことです。
栗田氏によれば、施工には、日本館に似た古い屋根の設置経験が豊富なNdidini社が選ばれました。同社はサンパウロ市内の「ポルトガル博物館」の屋根設置も担当した実績があります。
また、工事期間の選定も課題でした。日本館を閉館する必要があるためです。「悪天候のリスクは承知の上で、年末に実施することを決めました。」と栗田氏は語ります。実際、雨の影響で作業が妨げられることもありましたが、「最終的にはすべてがうまくいきました。」と振り返りました。
展示室では、屋根の交換に加えて、側面の窓に設置されていた木製のルーバー(鎧戸)も撤去されました。これは過去の改修時に取り付けられたものでしたが、1954年の堀口捨己によるオリジナル設計には含まれていなかったためです。これにより、大きな窓から太陽光が差し込み、空間がより広く感じられるという本来の意図が再現されました。
その他の改修工事

文化省の文化推奨法に基づき、ダイキン・ド・ブラジル、前川製作所(Mayekawa Mycom)、サクラの支援を受け、シロアリの被害で激しく損傷していた大広間の床板の修復、フローリングのクリーニング、茶室の畳の表替え、庭園(内庭・外庭)の造園および修復、そして新しい案内看板の設置などが行われました。
日本館の見どころの一つである「錦鯉の池」周辺も、サンスイ社の支援とイトウ・ケンジ市議会議員の予算措置(市緑・環境局経由)により、大規模な改修が行われました。池の底のメンテナンスを経て防水シートが交換されたほか、土木設備や周囲の庭園も整備されました。また、錦鯉の飼育については、ブラジル錦鯉協会による技術支援と、ニュートリコン社による餌の提供が行われていることも特筆すべき点です。
さらには、14名のメンバーで構成される日本館支援者の会による寄付が挙げられます。この寄付により、庭園の各所に設置された14台の無垢材のベンチが製作されました。デザインを担当したのはLW Designの建築家、マルシオ・タナカ氏とジョアン・スピンドラ氏です。タナカ氏は「日本館の建物と同様に、日本の伝統建築の技法である『木組み』を取り入れました」と説明しました。
「日本館支援者の会」メンバー:
宮坂国人財団、石川レナト家、西村パウロ家、アジェノール&本間秀子夫妻、クローヴィス&シモーネ・イケダ夫妻、奥原常嗣&ミドリ夫妻、ヘルシオ&クリスチアーネ・ホンダ夫妻、ヘレン&ロベルト・オハラ夫妻、ミノル・カミカド氏、佐藤ネルソン家、ロベルト&エリアナ・ニシカワ夫妻、リカルド・アカガワ家、ヤマニシ家、ソネダ(A Casa da Beleza)。
奥原委員長は式典の報告の中で、オメガライト(Omega Light)社、ファスト・ショップ(Fast Shop/家電製品)、カーザ・デックスコ(Casa Dexco/床材・陶器)からの支援についても強調しました。さらに、造園は勝利(Shouri)社、コンセプト設計はベネジット・アブド事務所、ビジュアルコミュニケーションはA10社とクリエイティブ・ディスプレイ社、そして新しいプロジェクトに向けたコンセプト策定は建築家のロベルト・クボタ氏が担当したことを明らかにしました。


新しくなった展示館の屋根 展示室入口に新しく作られた前庭


坪庭 坪庭


日本館と展示館を繋ぐ渡り廊下 茶室


修繕された縁側の椅子 鯉の泳ぐ池
日本館
場所: イビラプエラ公園
Av. Pedro Álvares Cabral, s/nº – São Paulo – SP
日本館最寄りゲート:ゲート10(徒歩の場合) / ゲート 3(車の場合)
営業: 木,金,土,日.祝日
時間: 10時から17時まで
お問い合わせ:
(11) 99538-1927 または✉ pavilhao@bunkyo.org.br
入館料
大人:20レアル
学生:10レアル(要学生証)
高齢者(60歳以上):10レアル
子供(5~12歳):10レアル
幼児(4歳まで):無料
ファミリーパック(4名まで):50レアル
※木曜日は無料





