ブラジル日本移民史料館

mhijb logoみなさんはブラジル日本移民の歴史をどれほどご存知でしょうか。
ブラジルは世界最大の日系人居住地であり、現在約150万人の日系人が住むといわれています。どのようにしてこれほど巨大な日系社会が地球の反対側であるブラジルに存在するようになったのでしょうか。〔疑問1〕

1908年に781人の日本人が東洋汽船「笠戸丸」で神戸港を出港し、長旅を経てサンパウロ州のサントス港に到着し、その後サンパウロへ鉄道で移動し、コーヒー園へと向かいました。「皇国殖民会社」が移民で希望者を募る際に、ブラジルでの高待遇や高賃金をうたったために、移民のほとんどは数年間の間コーヒー園などで契約労働者として働き、金を貯めて帰国するつもりでした。しかし、先に移民して来たイタリア人の場合と同じく、日本人移民も奴隷解放令に伴う労働力不足を補うために導入されたもので、法律上の立場こそ自由市民でしたが、ほとんどのコーヒー園での実生活は奴隷と大差のないものでした。居住環境は悪く労働は過酷で、賃金の悪さなどの待遇が悪かったために、帰国のための貯金どころではなく借金が増える一方でした。日系移民の間では移民計画を「棄民」(日本国に棄てられた民)と呼ぶ自虐の声がでるほどでした。

mhijb 7 andarこの様な待遇の悪さや賃金の悪さから、皇国殖民会社に対して帰国を申し出る者が増え、ストライキや夜逃げも多く発生し、リオ・デ・ジャネイロ州などの近隣州やアルゼンチンへと渡る者もあらわれ、1909年に外務省の野田良治通訳官が調査した結果、笠戸丸で移民し、当初契約したコーヒー園に定着したのは全渡航者の4分の1のみであったと報告されています。このような非常に厳しく過酷な状況の中で、日本人はいかにしてブラジルで生き残り、100年以上に渡る日系社会の歴史を築いてきたのでしょうか。〔疑問2〕

mhijb 9 andar近年、日系ブラジル人2世、3世は、その勤勉さと教育程度の高さから社会的地位が高い職業についているケースが多く、上記のような政界や官界、経済界の中枢のみならず、医師、弁護士、技師、地質学者、教員、芸術、文化、スポーツ等を含む広範な分野に進出し、ブラジルの発展に大きく貢献したと高く評されています。なお、ラテンアメリカ諸国全体で見ても屈指の大学とされるブラジルの最高学府サンパウロ大学の 学生のうち、かつては約15パーセントが日系ブラジル人の子弟であり、教員の約8パーセントが日系ブラジル人でした。1パーセントに満たない日系人の人 口比からみて、それがいかに高いものかがわかります。

mhijb 8 andar高度経済成長期前後に多くの日本企業がブラジルに進出した際には、日系ブラジル人がその先導役を務めただけでなく、日 本人移民や日系ブラジル人がブラジルに作り上げた「日本人は勤勉」、「日本人は信用できる」という評価が、日本企業のブラジル進出と市場への浸透を容易に したことは間違いありません。非日系ブラジル人は日系人たちに最高級の評価を与えているのです。いかにして日系人たちはブラジル国においてこれほどの成功を収めてきたのでしょうか。〔疑問3〕

これらすべての疑問の答えは文協ブラジル日本移民史料館にて知ることができます。どうぞ、100年を超えるブラジル日本移民の壮絶な戦いとその勝利を史料館にてご自分の目でご覧ください!!

お問い合わせ

「ブラジル日本移民史料館―常設展」(7、8、9階)
営業時間: 火曜日から日曜日、13時半から17時半 (月曜日休館)
大人料金: R$ 16,00
学生手帳をお持ちの方: R$ 8,00 ・ 5歳から11歳までのお子様: R$ 8,00
5歳未満の幼児: 入場無料  ・ 60歳以上の方は半額: R$ 8,00 (Lei 10.741/2003 – Estatuto do Idoso)

「図書館収蔵庫*/事務所」 (3階)
火曜日から土曜日 9時から17 時半
日曜日・月曜日は休館です。
*図書収蔵庫の図書及び資料は、検索依頼状をメールにて事前に申し込み、閲覧室でのみ可。同じく資料収蔵庫も事前に研究プラン、あるいは見学希望をメールにて申し込むこと。

ガイド付き見学の予約
(50人の団体様、60分まで – 火曜日から金曜日)
ガイド料金: R$ 150,00

問い合わせ: (11) 3209-5465 ou 3208-1755 (内線 117)
E-mail: museu@bunkyo.org.br

ニュース

「第54回山本喜誉司賞」推薦受付中!〆切は7月25日

山本喜誉司賞とは この賞名の由来となった山本喜誉司氏は、コーヒー栽培の害虫駆除に有効なウガンダ蜂の研究で、ブラジル日系社会はもとよりブラジルにおける農業の分野で多大なる貢献を成し、母校東京大学から農学博士を授与された方です。 また同氏は文協創設者の一人であり、初代会長としてブラジル日系社会をまとめた人物でもありました。 そんな山本氏が何より熱意を傾けていたのが、農業分野における日系人後継者の育成でした。 この志を引き継ぐべく、1965年にブラジル農業技術研究協会(ABETA)は農業分野で貢献のあった日系人の個人や団体を顕彰する山本喜誉司賞(PKY)を開始しました。1999年にはABETAから文協へと託され、すでに174名の日系人または日系団体を顕彰しています。なお、現在同賞は、ブラジルの農業部門における最も伝統的な賞のうちの一つとなっています。

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4月回の文協シネマ&水曜フリマ中止のお知らせ

日頃よりブラジル日本文化福祉協会に対し格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 毎月第1水曜日に開催している文協シネマの4月回は、映画上映機材の技術的な問題のため、中止とさせていただきます。合わせて、水曜フリマも中止となります。 ご迷惑をおかけしますが、ご理解の程よろしくお願いいたします。 お問合せ:文協事務局 ✆(11)3208-1755

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文協評議員選挙 当選者発表!

評議員選挙 当選者発表! 穏やかな選挙――これが、2025年3月22日の午前中に開催された第60回定期総会の開票作業の雰囲気でした。 開票作業は、選挙管理委員会の木多喜八郎委員長の指揮のもと、青年委員会のメンバーの協力を得て事務局員が約1時間にわたって行われました。 届けられた179票の投票用紙うち、1票が選挙規則に違反したため無効の処置がとられました。 この選挙にて、選出された50

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99歳の方はいませんか!2025年度 白寿者表彰(1926年生れ)🏅申請〆切は4月30日

写真:2024年度の白寿者表彰式の様子 1926年(大正15年)生まれの方 今年度も文協は、満99歳の方々を祝賀する「白寿者表彰」の準備を始めています。 今年度は1926年(大正15年)生まれの方が白寿を迎えますが、過去に白寿を迎えたものの、まだ表彰されていない方も対象となっています。 白寿表彰は、私たちのかけがえのない尊敬すべき大先輩方が、それにふさわしい敬意を表されるべく、舞台に上がる感動的な瞬間となっています。

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