報告:第22回COPANI-Brasil

開会式出席者(左から/敬称略):
APN会長 佐々木 ヴァルテル、文協会長 西尾ロベルト義弘、文協名誉会長 石川レナト、日本からの特別来賓 安倍昭恵、
駐ブラジル日本国大使 野口泰、在サンパウロ総領事 鈴木誉里子、サンパウロ市政務長官 林 ロドリゴ・グラールト、
海外日系人協会理事長 田中克之、第22回COPANI実行委員長 栗田クラウジオ

パンアメリカン日系人協会(APN)の佐々木ヴァルテル会長と、第22回パンアメリカン日系人大会(COPANI)実行委員会の栗田クラウジオ委員長にとって、今回のような大規模なイベントの運営は決して初めての経験ではありませんでしたが、ブラジル最大の日系社会を代表する団体である文協を会場として開催された今回の大会を企画・運営するにあたり、その責任は格段に大きなものとなりました。2024年、パラグアイで開催されたCOPANIで、次回開催地にブラジルが選ばれた時から、その準備は本格的に開始されました。

二人がようやく安堵の胸をなで下ろしたのは、大会が閉幕する直前に、参加者から運営や講演内容について称賛の声が次々と寄せられ始めた時でした。

開会式で挨拶を述べるAPN会長佐々木 ヴァルテル氏 

実行委員会の委員長という大役を担った栗田クラウジオ氏は「国際規模の大会ならではのさまざまな課題に加え、大会を統括するAPNの規定により、開催国は大会の1年前までに予算を提示しなければなりませんでした。」と説明しました。

「この要件は、APNの規約にも明記されています。APNが大会の質を確保しようとすることは主催団体としてあたりまえのことです。しかし、その間には私たちではどうにもならないさまざまな不測の事態が起こり得るのも事実です。」と話しました。

幸いなことに、全てうまくいきました。

「変革をリードする」をテーマに掲げた第22回目となるCOPANIブラジル大会は、6月5日から7日にかけて、文協およびニッポン・カントリークラブにて、日本を含むアメリカ全土14か国より約400人が参加して開催されました。

開会式で挨拶する特別ゲストの安倍昭恵夫人 

6月4日午前に行われた開会式には、駐ブラジル日本国全権大使の野口泰氏をはじめ、日伯両国の要人が出席しました。中でも大きな話題を呼んだのは、特別ゲストとして出席した故・安倍晋三元首相夫人の安倍昭恵氏でした。

日本と中南米との関係は、2014年に当時の安倍晋三首相が昭恵夫人を伴って中南米を訪問したことが歴史的な節目となりました。この際、数々の二国間協定が結ばれるとともに、「戦略的グローバル・パートナーシップ」と称される協力体制の基盤が確立されました。

「Juntos(ジュントス=ともに)」と名付けられたこの構想は、日本の外交当局と日系人社会との結び付きをより一層深めるための取り組みとして位置付けられました。

安倍昭恵氏は夫である故安倍晋三元総理と共に南米へ訪れた日を思い返しながら感慨深げな面持ちで、「夫はいつも、日系の皆さんは心から私たちを待っていてくれるのだから、私たちも真心をもってそれに応えなければならない、と言っていました。」と話しました。続けて「今、私は一人でここに立っていますが、主人が感じていたのと同じ感動、同じ情熱、そして同じ感謝の気持ちを抱いています。」と、声を詰まらせました。「日本人として、皆さんが常に前を向き、強い決意と揺るぎない自信を持って歩んでこられたことに、私は深く胸を打たれました。私自身も、もっと努力しなければならないと感じました。」と述べました。

開会式出席者(左から)JICAブラジル事務所 宮崎 明博 所長、連邦下院議員キム・カタギリ議員、サンパウロ市議会議員イトウ・ケンジ議員、サンパウロ市経済戦略プロジェクト執行部野村アウレリオ部長が出席した。

COPANIブラジル大会の歴代実行委員長3人が一堂に会した。左から、第14回大会(2007年)矢野敬崇氏、第3回大会(1985年)の千坂征彦氏、第22回大会(2026年)の栗田クラウディオ氏。
写真:Revista Mundo OK


コーヒーブレイク:参加者同士が会話を楽しみ、新たな交流や友情を育む姿が見られた。

金曜日の懇親昼食会では、レストランNanayaが用意したブラジルの国民食フェイジョアーダと和食が振る舞われた。

若者の能力を育み、その活躍を支援する。

第22回COPANI実行委員会 栗田クラウディオ 実行委員長

第22回COPANI実行委員会の栗田クラウディオ委員長は、「今回の大会は、あらゆる期待を上回る成果を得て、皆様をお迎えする準備を整えることが出来たと思います。」と振り返りました。

「特に資金面など、さまざまな不安を抱えていましたが、その結果は驚くべきものであり、大きな達成感を得ることができました」と述べました。

また、同大会の運営は、日系三世、四世、さらには五世までの若い世代が中心となって担っていることを強調し「今回の大会は、近い将来ブラジル日系社会を牽引していく若い世代が、自ら企画し、発想し、創り上げたものです。」と話し、将来につながる若い世代の活躍こそ、COPANI開催の最大の成果の一つだと述べました。

サンパウロ市経済開発・労働局の
林ロドリゴ・グラールト局長による講演

日系起業家による「COPANIショップ」

栗田実行委員長によると、約150人の若いボランティアの多くは、これまで一度もCOPANIに参加したことがなかったという。しかし、「今回の経験が、今後も続く数多くのCOPANIへの第一歩になるでしょう。2028年のカナダ大会、そして2030年のチリ大会にもつながっていくはずです。」と期待を寄せました。

また、「今回のCOPANIは、真にグローバルで活気あふれる大会として確固たる地位を築くことがでたと思います。」と評価しました。

その理由として、キューバとエルサルバドルから初めて参加者を迎えるなど、14カ国以上からの参加が実現したことを挙げました。また、前回開催国のパラグアイと、2028年の開催国であるカナダからは特に大規模な代表団が参加したことも特徴的でした。

さらに、ブラジル国内からも全国各地域の代表者が集い、COPANIの広がりと国際性を印象づける大会となりました。

また、新たな取り組みとして「COPANI Cast」を立ち上げたことも挙げました。これは、ブラジル国内外から参加したボランティアや参加者の感動的な人生経験を紹介するポッドキャストで、50本を超えるインタビューを収録し、大会の新たな魅力を発信しました。

COPANIの開催を支えた約150人の青年ボランティアたち

また、新たな取り組みとして、「COPANI Shop」と「COPANI Club」も実施されました。「COPANI Shop」では、慈善団体や日系の小規模事業者による商品が販売され、「COPANI Club」では、企業やレストラン、カフェ、各種サービス事業者が参加し、大会参加者向けの特典やサービスを提供しました。

パネルディスカッション1:「日系人が社会に与える影響」【パネリスト】検察官コモノ・エミルソン氏 / 柔道家で青少年育成の指導者として知られるナガイ・シルバナ氏【モデレーター】REN Brasil創設者イシイ・レスリー氏

パネルディスカッション3:「 日系ブラジル人の農業分野における遺産」【パネリスト】ジャクト・グループの西村ジョージ氏/東洋紡ブラジル・バイオロジカルズ社長の髙橋ミノル氏【モデレーター】農学者の平岩 ジョージ氏

パネルディスカッション2:「デジタル時代におけるコミュニティの強化」【パネリスト】インフルエンサー の小野優真氏とアナ・チヨ氏【モデレーター】ジャーナリストのマサオカ・ジュリアーニ氏

パネルディスカッション4:「日系人のインテグリティ」【パネリスト】ブラジル連邦警察 警視の林 フェリペ氏 /大学院特任准教授の石原 ダニエル氏【モデレーター】渉外・政府関係担当のシマノ・ダニーロ氏

他のコミュニティとの連携の推進

文協の副会長であり、汎米日系人協会(APN)の会長に再選された佐々木ヴァルテル氏は、第22回大会について「幸いにも予定通りに開催され、ブラジル国内および海外からの参加者からも多くの賛辞をいただくことができた。」と評価しています。

同氏によると、今大会の成功は非常に重要な「文化的な進歩」を意味しており、文協、そしてブラジル日系社会の存在感を高めることにつながったといいます。「ブラジルの日系社会がどのように発展しているかを少しでも多く知ってもらうことが、COPANIをブラジルで開催した大きな目的の一つでした。」と話しています。

また、他国の日系社会との絆を深める取り組みを本格化させたのは、文協の前会長であり、現在は名誉会長である石川レナト氏の任期中であったと振り返り、「文協もブラジル日系社会も、他国のイベントや活動への関わりや参加がこれまで少なかった。」と認めました。そのため、今回のイベントは「私たちが何者であり、これまで何をしてきて、いま何に取り組んでいるのかを示すための、大きな一歩となりました。」と述べました。

一方で、同氏は次のように指摘しています。「私たちにはお見せできるものがもっとたくさんあります。例えば、バウル市の検察官が取り組んでいる活動や、リオデジャネイロのコンプレクソ・ド・アレマン(※訳注:貧民街・ファヴェーラの大規模複合体)のコミュニティで柔道のブラジルチャンピオンが展開している活動にスポットを当てられたことは、非常に興味深いことでした。私たちが社会問題の解決に関心を持っていることを示せたのです。他国でも人々が社会的排除(孤立)に苦しんでおり、やるべきことが山積みであるのは、私たちも分かっています。」

分科会「ラテンアメリカ外務省研修生国際会議」

野口大使と佐々木APN会長と
分科会「女性フォーラム」への参加者ら

外務省研修生会議には、ペルー、アルゼンチン、パラグアイ、
ブラジル、ボリビア、メキシコの6か国から参加

分科会「日本語」の様子

佐々木会長は、今回のCOPANIで取り上げられた様々なテーマの選定について、「テーマや登壇者を提案したのは若い世代です。それを会議にかけて決定しました。」と説明し、常に「シニア層にとっても若者にとっても魅力的であるよう、バランスを取ることを意識しました。」と述べました。その中で、インフルエンサーを集めたパネルディスカッションに関しては満場一致であったとし、「常に、成功を収め、その実績で人々をインスパイアできる起業家を呼ぶことを目指しました。」と付け加えました。

文協大講堂で行われた全体会議では同時通訳が用意されましたが、6つのテーマ別セッションは同協会の本部の様々な会場に分散して開催されました。同氏は、資金的な制約からすべての会場に通訳者を配置できなかったことを悔やみ、次のように述べました。「おそらく、次回の開催時には人工知能(AI)による翻訳の質が向上しており、その力を借りることができるのではないかと期待しています。」

文協文化スペースで開催された分科会「青年」-参加者がグループに分かれ、アイデンティティをテーマに意見交換や経験の共有を行う

分科会「日本移民資料館」では13の機関が参加し
第3回日本移民資料館シンポジウム」が開催された。

「通常の」ラジオ体操と「レゲイ」のラジオ体操を
体験して盛り上がる青年たち

米国・ロサンゼルスの日系人博物館が運営するウェブサイト「ディスカバー・ニッケイ(Discover Nikkei)」も参加

COPANIの主な課題

佐々木氏は、「この問題はブラジルだけでなく、すべての参加国に共通する課題です。それは、若い世代をいかに取り込むかということです。私たちは会館や県人会、高齢者施設など、数多くの有形・無形の文化的資産を有しており、それらを将来にわたって維持していかなければなりません。」と語りました。

また、この課題は日本政府とも共有されているとの見解を示し、「2014年の安倍晋三首相の政権以降、この問題への関心がより明確になりました。そのため、日本の総領事館や大使館も、日系社会や若い世代との連携を積極的に進めています。」と述べました。

文協の活動を広報する文協事務局員

佐々木氏は、直近5回のCOPANIでは若者の参加が年々増加していると指摘します。また、開催地によっては、若者の参加を促進するための支援策が講じられていると述べました。

例えば、前回大会が開催されたパラグアイでは、大会で生じた剰余金を活用し、経済的な事情でブラジル開催のCOPANIへの参加が難しい若者たちの渡航費支援を行いました。

自社製品を紹介するキッコーマン

COPANI日本語歌謡コンクールの出場者ら

JICAブースで数々の活動紹介を行うJICA職員

COPANI日本語歌謡コンクールで優勝した
アルゼンチン代表のヨナシロ・カレンさん

佐々木氏は、APNにとって最大の課題は「より低コストで、開催リスクの少ないCOPANIを実現すること。」だと語ります。

また、COPANI開幕前日に開催されたAPN総会では、この課題について長時間にわたり議論が行われ、今後6か月以内に具体的な提言をまとめるための作業部会が設置されたことを明らかにしました。

これまでの大会については、「これまでのところ、一定の剰余金を確保しながら開催できています。しかし、参加国の中には日系社会の規模が小さい国もあり、運営上の課題は年々大きくなっています。」と説明しました。

さらに、「参加登録料だけでは大会運営に必要な経費を賄うことが難しくなっているため、今後は持続可能な運営モデルを構築することが理想です。」と述べました。

最後に佐々木氏は、「COPANIは今後も継続していかなければなりません。若い世代への取り組みは不可欠ですが、それと同時に、ブラジル日系社会は他国の日系社会との交流をさらに深めていく必要があります。私たちは同じルーツ、同じ価値観を共有する仲間であり、互いに協力し合うことが大切です。ブラジルには世界最大の日系社会があります。中長期的には、そのリーダーシップを担っていかなければならないと考えています。」とメッセージを送りました。

閉会式に先立ち会場である日本カントリークラブの
施設を見学する参加者たち

閉会式で乾杯の発声を行う石川レナト文協名誉会長

送別夕食会で披露されたサンバスクール「Águia de Ouro」によるパフォーマンス

第22回COPANIのフィナーレを彩った花火

写真提供: Marcel Uyeda e Kenji Missumi

ニュース

報告:第22回COPANI-Brasil

開会式出席者(左から/敬称略):APN会長 佐々木 ヴァルテル、文協会長 西尾ロベルト義弘、文協名誉会長 石川レナト、日本からの特別来賓

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