灸の実習講座:日本移民の思い出をよみがえらせて

artemisia moxabustao「ブラジルにおいて日本人によって導入された人気のある治療法を取り戻し、発展させる」。この目的で、来る6月と7月、教師であり鍼灸師である小渡良博さんは文協にて「日本式お灸と触診講座」を実施します。

この講座は、治療の実践を紹介し、参加者に灸の方法やその実施を補助する竹製品の調製などの経験と訓練を積ませることを優先しています。 授業は、治療を目的とした灸使用の10以上の様々な技法の実施を含みます。

触診の訓練は参加者を、より安全で効果的な灸実施のための必要と、推奨される治療指示に関する最初の分析へと備えさせることを目指しています。

小渡良博さんは1987年に東京の国際鍼灸専門学校を、1989年に東洋医学の教育機関・呉竹学園の教員養成科を卒業しました。1990年からブラジルで治療に携わり、鍼灸師組合や自身の治療院などで講座を開き、鍼灸師の養成にも努めています。

移民時代のやいと(灸)とお仕置き

やいとは、灸の旧名で、痛みのある特定の部分、もしくは経穴(つぼ)と呼ばれる特定の部位に対し温熱刺激を与えることによって生理状態を変化させ、疾病を治癒すると考えられている伝統的な代替医療、民間療法です。

幼少時代の思い出の中で、「やいと」が決して忘れられないものとなっている日系人は少なくありません。といっても「甘い」思い出ではなく、「苦い」記憶です。「やいと」は、祖父母たちにとっては痛みや疾患を治す自己回復および自己ケアの効果的な処方でしたが、いたずらっ子たちには、何か悪さをしたときに受けるやけどによるお仕置き(実際のところ、身体的な痛みより心の痛みに訴えるもの)でした。

灸の起源は約三千年前の古代中国の北方地方において発明されました。多くの地方に皮膚を焼くことを治療行為とする伝記は残っています。日本において、灸などの伝統中国医学概念は遣隋使や遣唐使などによってもたらされました。灸は律令制度や仏教と共に日本に伝来しましたが、江戸時代に「弘法大師が持ち帰った灸法」として新たな流行となり、現在も各地に弘法の灸と呼ばれて伝わっています。

教師であり鍼灸師である小渡良博さんは、「灸は古代から用いられていた治療方法です。無数の種類の技法があり、各家庭での実施や専門家による実施によって長い年月をかけて完成されてきました」と言います。日本移民の様々な農家集団でも、灸に使用する原材料である一般的なヨモギ草(当時はもぐさと呼ばれていた)の成分をいつでも手に入れることができたようです。

第二次世界大戦での敗戦で日本文化のルーツから断絶させられたため、時間とともに、日系ブラジル人の間で「やいと」の記憶はいやなもの、思い出したくないものになりました。日本でも、子供などを強く叱る意味の言葉として『灸を据える』『やいとを据える』という言葉がありましたが、家庭での灸が行われなくなったため、あまり聞かれなくなりました。

「先祖の健康と長寿を維持するのに役立った、東洋医学の最も重要な治療法の一つとして認識していたのは少数の人々でした」と述べる小渡さんは、ブラジルにおいて日本人によって導入された民間治療方法を再確立することの重要性を強調しています。お灸は虚弱体質や冷え性など気が弱っている人に効果的だそうです。

講座: 日本式お灸と触診講座
1回目: 6月7、8日 9時から18時
2回目: 7月26、27日 9時から18時
料金::
4月20日まで – 一括払いは920レアル、分割払いは500レアル×2
4月20日以降 – 一括払いは1000レアル、分割払いは550レアル×2
場所: 文協 – Rua São Joaquim, 381 – Liberdade – São Paulo – SP
(メトロサンジョアキン駅から徒歩6分)
問い合わせと応募: cursos@acuterapia.com.br

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